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5月
僕のクラスに季節外れの転入生がきた。
第一印象は
(ここの生徒が騒ぎそうな容姿だな)
だった。
彼の名前は、佐々木 彼方(ササキ カナタ)と言うらしい。
背が高く、元々色素が薄いのか綺麗なクリーム色の髪と瞳。そして見る人が目を奪われる笑顔。
(これは早々に親衛隊がつきそうだな…)
まぁ、関わることもないだろうと僕は彼から目を逸らす。
「佐々木の席は、あー…有栖川の隣か…
お前ら仲良くしろよー、んじゃHR終わりー」
なんと、転入生の佐々木くんは僕の隣の席らしい。
確かに窓際の一番後ろの席はずっと空席だった。
だからといって僕には彼と関わるなんて選択肢はないのだけど。
「よろしく、俺佐々木彼方。名前聞いてもいい?」
「…」
「えーと…」
「佐々木くんが話しかけてるのに無視するなんて、さいてー」
「佐々木くーん、そんなやつほっといて俺らと話そうぜー!」
「そうそう!なんなら僕が校内案内してあげる!」
「ずるい!抜け駆け禁止ー!!」
クスクス、クスクス
(面倒臭い…)
話しかけても無視しても面倒臭いことになるなら、初めから巻き込まない方がいいに決まってる。
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