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それから一ヶ月。
仕事先の顧客からたくあんを大量に分けてもらったので、縹之介は照衛門にもお裾分けしようと、彼の家にやってきた。
「あ、はなだー」
戸を開けようとした時、後ろから声を掛けられ振り返ると、大量の傘を猫車(木製の配達用手押し車)に乗せてやってきた照衛門の姿が目に入った。
「売りに行ってんのか?」
「うん、最近全く売れなくなっちゃってねぇ。売りに行ったはいいけど、むしろ返品されて……」
照衛門は寂しそうな笑顔で情けなく溜め息を落とした。
「明日は両国橋の方に行ってみる」
猫車から山のような傘の売れ残りを下ろす照衛門。縹之介はそれを手伝いながら友人を気遣った。
「お菓子はないけど、お茶飲んで行ってよ」
「おう、ありがとよ。たくあん分けてやるから、元気出せ」
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