3時

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3時

夏の1日 今日も暑いけど良い天気。 窓を開けた私はそう思った。 窓から顔を出すと、私の庭にある木で小鳥が鳴いてる。 そして私は一言「どこから来たの?」と言って笑った。 これが何も見えない私の日常。 今は午後3時くらいかな。分かんないけど。 夏の2日 今日も今日とて良い天気だなぁ。 窓から日の光が身体に当ってるのが分かる。 片付け途中の本を置き、紅茶を淹れて一息つく。 見えなくなってから紅茶を淹れるのには苦労したけどもう慣れたな~。 3時(私がそう思ってるだけ)のティータイムは、やっぱりいいね。 夏の3日 今日は雨だね。ジメジメしてる。 でも、雨の日は少し好き。 雨音を聞いてると心地よくて、たまに寝ちゃう。 あ、今日も寝ちゃってたみたい。 今は、たぶん3時? 夏の4日 今日は、一段と暑いなぁ。 今日は外に出て庭の花に水やり。 そしたら、誰かの足音が近づいてきた。 侮蔑の言葉を散々言われた挙句、庭が荒らされちゃった。 なんで分かるのかって? 水やりしてた時の花の匂いが、土の匂いに変わってたからだよ。 たまに外に出るとこれだ。 はぁ、もう3時を過ぎてるかな。 夏の5日 今日は曇りで、どんより気分。 昨日のことがあってから、外に出たくなくなっちゃった。 今日は何もしたくない。 ベッドの上で今日は1日過ごそう。 3時がどうとか、もうなんだっていいや。 夏の6日 今日は良い天気だけど、私の気持ちは曇ってる。 昨日よりは良くなったけど、悲しい気持ちに変わりはない。 そんなことを考えていた午後3時。 ドアをノックする音がした。 恐る恐る開けてみる。 そしたら、元気な女の子が「あげる!」と言って私の手に花(匂いで何となく)を置いた。 渡してすぐに、「明日も来るね!」と言ってどこかへ行ってしまった。 あの子は一体なんだったのだろう。 夏の7日 今日は雲ひとつない晴れた空。 昨日と同じぐらいに、ドアをノックする音が聞こえた。 開けると、「はい!これあげる!」と言ってまた花をくれた。 「なんで私にくれるの?」と聞くと、「ここの庭のお花綺麗だったのになくなっちゃったから、代わりのお花を渡したらまた綺麗なお庭になるでしょ?」と言った。 「そっか……ありがとう。」 「なんで泣いてるの?」 この子に言われて、私は自分が泣いてることに気づいた。 人前で泣いたのなんて、いつ以来だろう。 なんだか、恥ずかしい3時過ぎ。 夏の…日 今日も清々しいくらい良い天気。 あれから、あの子は毎日私のとこに来てる。 今では家でお茶会するほどの仲になってる。 たわいもない話ばかりをするだけだけど、私にとっては、とても有意義な時間。 今日も、きっと楽しい。 ドアをノックする音が今日も聞こえた。 私の大事な午後3時が始まる。 -終わり-
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