反転

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 俺は、思わず外に飛び出していた。  近所の公園。  駅前の広場。  無人のコンビニ。  アナログだろうがデジタルだろうが関係ない。  全ての時計が、時間そのものが、逆戻りしている。  だけど髭は伸びているし、腹は減るし、消えた漫画の内容も覚えているし。  俺の時間だけが、進んでいる。  なんでだ?  いつから、どうしてこうなった?  状況が分かっても、理由を説明してくれる人はいない。  駅前の広場にあるデジタル時計には日付も表示されていた。  それは数日前、慌てて起きた土曜日だった。  時刻は間もなく、十二時を戻る。  その秒針が重なり、更に左へ動いていくのを、俺は食い入るように見つめていた。
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