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気ままな独身貴族を謳歌、と言えば聞こえは良いかもしれない。
だが貴族もピンキリで、俺はどちらかと言うと下級もいいところだった。賃貸のワンルーム暮らし、夜勤の仕事は悪くないものの安月給。本当、分かりやすいまでに『稼げない若者』を体現している。
特技の一つでもあればまだ救いがあったかもしれないが、残念ながら特徴がないのが特徴。強いて挙げるとすれば、嫌われているんじゃないかってくらいデジタル機器を全く扱えない事か。
そんな理由もあって、我が家には最低限の家電以外ハイテクなものは何一つないのだった。
飯を食べ、数少ない娯楽である漫画を読み耽る至福の一時。
ふと時計を見ると六時を回ったところだった。
そんなに時間は経っていないようだ。
まあいいか。腹が減ってから考えよう。
俺はジュースを継ぎ足し、再び漫画の世界に没頭した。
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