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第06夜 土手鍋風トマト豆腐キムチチゲ
本格的に寒くなってきやがった。
…とは思ってたよ。この間から。
だけど、いくら何でもコレは早過ぎるだろ。
日が暮れて急激に気温が下がったと思ったら、ちらほらと降ってきやがった。
何が、だって? ちらほらっつったら判んだろ。
雪だよ、雪。
初雪って、こんなに早かったっけ?
…どう考えても、少なくとも都内じゃあ、年越してからだったような気がするんだよなあ。
年内、しかもまだ12月にも入ってない内から初雪なんざ物心ついた頃からとんと見た憶えが無えんだけど。
くだらない事だけど、ちょっと気になったから検索してみた。
気象庁で初雪と終雪を統計してるページが確かあった筈だよな、てんでな。
したら、どうだい。
結構あんだね。年内、それも11月の初雪。知らなかったよ。
…に、してもだよ。
「舞う」てえ言い回しが似合うくらいの降りなら可愛げもあるし、冬の情緒てえ事で済むだろうけどな。
宵の口から降り始めた雪はそれから段々と強くなって、仕舞いには吹雪になってあたり一面に積もり始めた。
「うー、寒。一体どれだけ降りゃあ気が済むンだよ、この雪は」
エアコンはもう1時間以上前から目一杯暖房をかけまくってるのに一向に暖かくなりやがらねえ。
…ったく! この安普請のボロアパートめ!
部屋ン中で凍死なんてシャレにもならねえぞ。
オレはシャツの上からセーターを着込んで、更に押し入れからちゃんちゃんこを引っ張り出して羽織った。
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