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点けっぱなしにしてあったテレビでは、キャスターのお姉ちゃんが臨時ニュースを読んでいた。
「日没から降り出した恵梨奈区の雪は現在も激しさを増し、一部地域では積雪が1mを超えました。住民による除雪作業も行われているようですが、降雪量が作業を上回っており、区内では交通が寸断されて孤立する地域もあるようです」
お姉ちゃんが消えて、現場ルポに切り替わった。
別の若いリポーターのお姉ちゃんが「ここから恵梨奈区」と書かれた看板前に立っていた。
顔は細身なのにごっそりと着込んで丸々と着膨れし、ヘルメットまで被った重装備だったよ。
「私は今、小嶋区と恵梨奈区の区境に来ています。えー、ご覧のようにこちら側は全く雪が無く、恵梨奈区側はこのようにものすごい積雪と、非常に不思議な状況となっています」
言うように、看板からこっちはまるで雪が無いのに看板から向こうは雪国のような積雪だった。
まるで。看板からこっち側だけデッカいスコップですくい取ったみたいに、その積もった雪は境目で切り立っていた。
「え? ハイ、あたしがですか?」
お姉ちゃんが耳に手を当てて受け答えしている。
現場のカメラマンなのか、スタジオのディレクターか、恵梨奈区に入ってみろと指示をされてるようだった。
お姉ちゃんは決死の表情でカメラに背を向けて、看板の先に進もうとした。
だけど、元々道だった筈のそこは雪で出来た壁になってて、進もうにもどう進んでいいか判らない。
最初はよじ登ろうとしてたようだけど諦め、今度は雪の壁に手で穴を掘り出した。
すると、さほども掘らない内に、雪が雪崩となってお姉ちゃんに襲いかかった。
「きゃーー! 無理無理無理無理!」
マイクを放り投げて悲鳴を上げたお姉ちゃんは、転倒して雪に埋まっちまった。
カメラの脇から現場スタッフが走ってって、慌ててそれを掘り起こす。
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