第06夜 土手鍋風トマト豆腐キムチチゲ

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 画面には、お姉ちゃんの喋りに被せてツイッターやインスタグラムの写真が羅列されていた。  どの写真もまるで東北や北海道みたいだったよ。  へぇー、けっこう外はスゴい事になってるンだな。自衛隊だってよ。  でも、まあ、部屋の中に居りゃあ、何とかなるだろ。  インスタントラーメンもあるし、缶詰もあるし。  こんな真夜中に出歩く用事も無えし。  それよりメシだ、メシだ。晩酌だ。  壁の時計を見ると1時50分を回ったところだ。  午後の、じゃねえよ。  今日も今日とて又こンな時間になっちまった。  うかうかしてると、晩飯じゃなくて朝飯になっちまう。  さ、早いとこ支度しちまって、酒だ。  幸い、もう仕込みはあらかた済ましてある。  後は細けえもんを用意して煮るだけだ。  オレは鍋をガスレンジに乗っけて火を付けようとした。  その時。  突然テレビが消えた。 「ありゃああ?」  続けて今度は照明が消えて、暖房も停まった。 「参ったなあ、停電かあ」  オレはカーテンを開けて窓の外を見た。  見渡す限り、闇だった。  そこいらの家にも灯りが点いてなくて街灯も消えてやがる。  あーあ、このあたりも停電になっちまったか。  エアコンが切れたばかりなのに、部屋の中は早や、しんしんと冷え始めていた。 「こりゃあ、堪んねえなあ」  オレはブルっと震えてから、ホコリを被ってた石油ストーブを出してきた。  もう使わなくなって何年も経って、エアコンがあれば不自由しねえし、いい加減捨てちまおうかなと思ってたもんだ。  捨てなくて良かったなあ。何が幸いするか、ホント、判んねえぜ。
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