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画面には、お姉ちゃんの喋りに被せてツイッターやインスタグラムの写真が羅列されていた。
どの写真もまるで東北や北海道みたいだったよ。
へぇー、けっこう外はスゴい事になってるンだな。自衛隊だってよ。
でも、まあ、部屋の中に居りゃあ、何とかなるだろ。
インスタントラーメンもあるし、缶詰もあるし。
こんな真夜中に出歩く用事も無えし。
それよりメシだ、メシだ。晩酌だ。
壁の時計を見ると1時50分を回ったところだ。
午後の、じゃねえよ。
今日も今日とて又こンな時間になっちまった。
うかうかしてると、晩飯じゃなくて朝飯になっちまう。
さ、早いとこ支度しちまって、酒だ。
幸い、もう仕込みはあらかた済ましてある。
後は細けえもんを用意して煮るだけだ。
オレは鍋をガスレンジに乗っけて火を付けようとした。
その時。
突然テレビが消えた。
「ありゃああ?」
続けて今度は照明が消えて、暖房も停まった。
「参ったなあ、停電かあ」
オレはカーテンを開けて窓の外を見た。
見渡す限り、闇だった。
そこいらの家にも灯りが点いてなくて街灯も消えてやがる。
あーあ、このあたりも停電になっちまったか。
エアコンが切れたばかりなのに、部屋の中は早や、しんしんと冷え始めていた。
「こりゃあ、堪んねえなあ」
オレはブルっと震えてから、ホコリを被ってた石油ストーブを出してきた。
もう使わなくなって何年も経って、エアコンがあれば不自由しねえし、いい加減捨てちまおうかなと思ってたもんだ。
捨てなくて良かったなあ。何が幸いするか、ホント、判んねえぜ。
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