3時の同志

2/3
前へ
/3ページ
次へ
*** 次の日も同じ位置に座る。 例の男子高校生は、すでに文庫本を読み耽っている。 いつものようにぼんやりと前方を眺めていたら、 「なぁ。」 と話しかけられた。 相手は、文庫本から目を離した男子高校生。 「何してるの?」 何してるって聞かれてもなぁ。 「何もしてない。 強いて言うなら、ぼんやりしてる。」 ぷーっと相手は吹き出した。 何だ?笑顔がかわいいじゃないか。 「毎日飽きもせずにぼんやりしてるよな。」 まだ笑いがおさまらない様子で、失礼なことを言ってくる。 失礼……いや、事実だけど。 「私にとっては貴重なの! 何もせずにぼんやりするって、他の時はできないから。 せめてこれくらいは毎日だって許してほしい。 スマホを手にしない貴重な時間なんだから!」 相手が目を見開く。 「え? もしかしてこの時間は、あえてスマホに触らないようにしてるの?」 やっぱりおかしいかな…。 「そう…だけど。 そうじゃないと、ずっといじっていることになっちゃうから。 友達の連絡とかもひっきりなしだし。 気がつくと、支配されちゃうから。
/3ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加