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次の日も同じ位置に座る。
例の男子高校生は、すでに文庫本を読み耽っている。
いつものようにぼんやりと前方を眺めていたら、
「なぁ。」
と話しかけられた。
相手は、文庫本から目を離した男子高校生。
「何してるの?」
何してるって聞かれてもなぁ。
「何もしてない。
強いて言うなら、ぼんやりしてる。」
ぷーっと相手は吹き出した。
何だ?笑顔がかわいいじゃないか。
「毎日飽きもせずにぼんやりしてるよな。」
まだ笑いがおさまらない様子で、失礼なことを言ってくる。
失礼……いや、事実だけど。
「私にとっては貴重なの!
何もせずにぼんやりするって、他の時はできないから。
せめてこれくらいは毎日だって許してほしい。
スマホを手にしない貴重な時間なんだから!」
相手が目を見開く。
「え? もしかしてこの時間は、あえてスマホに触らないようにしてるの?」
やっぱりおかしいかな…。
「そう…だけど。
そうじゃないと、ずっといじっていることになっちゃうから。
友達の連絡とかもひっきりなしだし。
気がつくと、支配されちゃうから。
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