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正直、疲れてしまうのだ。
常にスマホで誰かの反応を気にしたり、答えたりするのは。
だからと言って、全くやらないのはあり得ない。
生活を成り立たせる重要なツールだ。
周りから変人扱いされるのは嫌だから、ある程度は使わなくてはならない。
だから、帰りのホームでの待ち時間から、家にたどり着くまでの時間は、あえてスマホをカバンの奥底にしまい込んで、いじらないようにしていた。
「支配! わかる!」
激しく同意される。
そして、ニカッと笑って告げる。
「俺ら、同志だな!!」
「は?」
「…俺もこの時間はあえてスマホから遠ざかってんだ。
まさに、支配から解放されるために。」
へー。
感心すると同時に、そのかわいい笑顔に不覚にもきゅんとしてしまう。
「なぁ。連絡先交換………とと!」
彼はそう言いかけてポケットを探り、バツの悪そうな顔をする。
…スマホ出そうとしたんだな。
思わず吹き出してしまう。
「…毎日、ここで会えばいいじゃん。
同志なんだから。」
電車が来ますのアナウンス。
今日から車両は分かれずに乗ろう。
─────同志なんだから。
fin
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