偏屈作家のお気に入り

偏屈先生のお気に入りは俺らしい

「は、馬鹿め。飛ぶわけがないだろ。僕を誰だと思っている」

「あれ…？飛んでこない」

「愚か者め、さっさと座れ。そして飲め」

「……飲むけど…なんでそんな勧めて…」

「二度は言わない。飲め、そして飲め」

「…うん…なんか…なんかさ…やっぱ怖っ…！何か企んでないか？お前…」

「……僕の真心を疑うなんて、お前は酷い奴だな…」

……やっぱ…何かなんてあるわけないよな…。

「……ごめんな…疑ったりして…俺、鱈腹飲むよ！飲ませてくれ！」

「わかってくれたならいい。…ああ、もちろんだ」

穏やかに微笑む紫乃に俺は見惚れながらも注がれるがままに酒を飲んだ。