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燐光社刊行「耽美報」八月号掲載。相田謙介作「門」の記述
鏡を見れば蛇によく似た少女がうつります。
私が口を「あ」の形にすれば、その少女も「あ」を作ります。
当然のことです。鏡の少女はワタシなのですから。
でも。私が口を「だ」の形にし、「れ」の形にすると、鏡の少女は「さ」と「あ」を作り、笑うのです。
それが気持ち悪くてなりません。
ですからあの方に憧れていたのだと思います。
あの方は確かな存在なのです。
あの方は門の向こうにおりました。
血の色をした門の向こうは、きっと暗い世界なのでしょう。
そこならば私にふさわしいのじゃあないかな、と思うのです。
私がワタシの身体を捨て私になれるのなら。
門の向こうにいってみたいと思うのです。
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