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「こんなもんかな」
「島」に来たときに背負っていたリュックサック。その前に並ぶ荷物たち。
種パン、頑丈なロープ、ポケットナイフ、タオル、消毒液、絆創膏、包帯、メモ帳、鉛筆、マッチ、懐中電灯……
「多くない? 」
「念のためって思ったら、なんかな……」
前回の旅で、あったら良かったと思ったもの。それを診療所の中から引っ張り出して来たが。うん。確かにこれ、多い。
「なんで遠くに行くのに、わざわざ重いもの持っていくの? 疲れちゃうよ」
ノアが聞く。それもそうだな。
よく考えたら、前回はウエストポーチだけでなんとかなった。食料は種パンの木を見つければ済んだし、それ以外もなんとか工夫しながらやり遂げたのだ。
「……これだけでいいか」
木の槍を紐で固定して、同じく木で作った鞘に入れて背負う。ウエストポーチを腰にはめ、中に入れるは消毒液と絆創膏、ハンカチ、それと少しの種パン。
……あと一つくらい、何か入りそうだな。
「むぶぉごあぁ」
「ノアさん!? 」
なんだなんだ。寝室からだ。
「どうした? 」
「あわわカイさん、ノアさんがっ」
たすけてぇぇと間抜けな声。見るとノアの足がベッドの下から生えている。
「潜ったら抜けなくなちゃったぁぁ」
「……じっとしてろ」
「はい」
アオイにノアの足を掴んでもらい、俺はベッドに手を掛ける。
せーのの掛け声で足を少し持ち上げ、アオイが引っ張る。ノアがスポンと飛び出す。
「ぷはぁぁ」
本当に世話の焼ける奴だ。
「で、どうしてあんな所に? 」
「『べっど』の下に何か落ちてて……」
ノアは手に持っていた紙をひらひら揺らす。
三つ折りにされた、大分傷んだカラフルな紙。文字が書かれているが、掠れていてよく分からない。俺は破かないように慎重に、そっと広げてみた。
色分けされた図、その上に書かれた文字や記号。「潮溜まり」「サンゴ礁」「休憩所」「風の丘」他にもたくさん。
「地図、か……? 」
やはり掠れてはいるが、外側よりははっきりと読める。
そして図の左上に、黒で丁寧な文字が書かれていた。
「ミナト」
父さんの地図?
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