【1】翼

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「こんなもんかな」 「島」に来たときに背負っていたリュックサック。その前に並ぶ荷物たち。  種パン、頑丈なロープ、ポケットナイフ、タオル、消毒液、絆創膏、包帯、メモ帳、鉛筆、マッチ、懐中電灯…… 「多くない? 」 「念のためって思ったら、なんかな……」  前回の旅で、あったら良かったと思ったもの。それを診療所の中から引っ張り出して来たが。うん。確かにこれ、多い。 「なんで遠くに行くのに、わざわざ重いもの持っていくの? 疲れちゃうよ」  ノアが聞く。それもそうだな。  よく考えたら、前回はウエストポーチだけでなんとかなった。食料は種パンの木を見つければ済んだし、それ以外もなんとか工夫しながらやり遂げたのだ。 「……これだけでいいか」  木の槍を紐で固定して、同じく木で作った鞘に入れて背負う。ウエストポーチを腰にはめ、中に入れるは消毒液と絆創膏、ハンカチ、それと少しの種パン。  ……あと一つくらい、何か入りそうだな。 「むぶぉごあぁ」 「ノアさん!? 」  なんだなんだ。寝室からだ。 「どうした? 」 「あわわカイさん、ノアさんがっ」  たすけてぇぇと間抜けな声。見るとノアの足がベッドの下から生えている。 「潜ったら抜けなくなちゃったぁぁ」 「……じっとしてろ」 「はい」  アオイにノアの足を掴んでもらい、俺はベッドに手を掛ける。  せーのの掛け声で足を少し持ち上げ、アオイが引っ張る。ノアがスポンと飛び出す。 「ぷはぁぁ」  本当に世話の焼ける奴だ。 「で、どうしてあんな所に? 」 「『べっど』の下に何か落ちてて……」  ノアは手に持っていた紙をひらひら揺らす。  三つ折りにされた、大分傷んだカラフルな紙。文字が書かれているが、掠れていてよく分からない。俺は破かないように慎重に、そっと広げてみた。  色分けされた図、その上に書かれた文字や記号。「潮溜まり」「サンゴ礁」「休憩所」「風の丘」他にもたくさん。 「地図、か……? 」  やはり掠れてはいるが、外側よりははっきりと読める。  そして図の左上に、黒で丁寧な文字が書かれていた。 「ミナト」  父さんの地図?
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