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「『ちず』? 」
ノアの質問。
「これ、『島』を空から見たのと似てますね……」
アオイの呟き。
「場所の情報を紙に書いたものだ。山とか海がどこにあるか、これを見ればわかるんだよ」
「ん……」
おや、「むむむ」じゃないのか。話がわからない時はいつもそう言うのだが。
「『島』って、こんなに小さかったっけ? 」
原寸大で書くわけないだろ。
アオイの巣はどこかと尋ねると「小石平原」だと言った。
地図で見ると「島」の南西、少し突き出た辺り。直線距離は、ここからサンゴ礁と同じくらい。
若干遠いが、歩けない距離ではない。順調に行けば、午後には着けるだろう。
「それじゃ、行くか」
「よーし! 」
「よろしくお願いします」
扉を開けて外に出る。俺とノアは地面の上、アオイは翼を広げて空へ。
陸海空。違う場所に生きる俺たちが、揃って一つの場所に向かう。
小石平原。どんな所だろう。どんな生き物がいるのだろう。達成するべき問題は不安だが、せめて少しは楽しみも持っておくか。
空はまだ青い。暗くなる前に着けたらいいな。
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