【1】翼

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「『ちず』? 」  ノアの質問。 「これ、『島』を空から見たのと似てますね……」  アオイの呟き。 「場所の情報を紙に書いたものだ。山とか海がどこにあるか、これを見ればわかるんだよ」 「ん……」  おや、「むむむ」じゃないのか。話がわからない時はいつもそう言うのだが。 「『島』って、こんなに小さかったっけ? 」  原寸大で書くわけないだろ。  アオイの巣はどこかと尋ねると「小石平原」だと言った。  地図で見ると「島」の南西、少し突き出た辺り。直線距離は、ここからサンゴ礁と同じくらい。  若干遠いが、歩けない距離ではない。順調に行けば、午後には着けるだろう。 「それじゃ、行くか」 「よーし! 」 「よろしくお願いします」  扉を開けて外に出る。俺とノアは地面の上、アオイは翼を広げて空へ。  陸海空。違う場所に生きる俺たちが、揃って一つの場所に向かう。  小石平原。どんな所だろう。どんな生き物がいるのだろう。達成するべき問題は不安だが、せめて少しは楽しみも持っておくか。  空はまだ青い。暗くなる前に着けたらいいな。
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