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海沿いに歩き続けて一時間ほど。
地図を見つけたお陰で「島」の様子が大分わかり易くなった。所々掠れてはいるが、大まかに地理を把握するには十分だ。「島」の中央にある大きな山。それを目印に、俺たちは西に向かって進む。
「カイさん」
上から声。見上げると、アオイが翼を畳んで降りてきた。
「この先、ケルプトンネルなんですが……通って行きますか? 」
「ん、あまり通りたくないけど……」
イワクラさんの話によれば、海藻の入り組んだ、前も見えない場所らしい。アオイも飛びにくいだろうし、できれば避けて行きたい。
だが地図を見ると「道から外れないように注意すること」と書いてある。逆に言えば、道を通れば安全という事だろう。
「ケルプトンネルって、近道なのか? 」
「え、ええ。森を通って行くのの、半分くらいの時間で……」
「それじゃ行こう! 近道近道! 」
ノアが先頭でずかずか進む。その後を行く俺たち。
「気をつけてくださいね……」
アオイが何か言っているが、まぁ大丈夫だろう。それに正直、本物のオオウキモを見てみたいのだ。
これは俺のわがままではない。効率良く進むついで。そう、ついでだ。
……いや、わがままだな。
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