3人が本棚に入れています
本棚に追加
豪快な猛者…というカテゴリーからはやや外れてしまうかもしれないが、私の記憶に残っているオジサンはもう一人いる。
昔、大手のゼネコンにいて定年退職し、何故かうちのような会社に天下りをしてきたひとだ。奥様が某社長令嬢だったらしく、自分は婿養子の身で定年後は行き場が無くなってしまった為、うちの会社の誰かの誘いは渡りに船だったらしい。
ところがこのオジサン、以下ムコおじさんと呼ぶが、とにかくおしゃべりで仕事らしい仕事などろくにしない。積算部に配属されてうちの課に来たのだが、とにかく見積もりらしい見積もりだってやらない。あそこの飯は上手かったとか、自分のいた会社の部下が優秀だった…とか、定年で追い出された会社の自慢が大半だった。
つまり、彼は思った以上に孤独だったのだ。プライドの高さが邪魔をしているのだろうか?何か仕事をくれ、とも言えず、かといって積算部にかかって来た電話にも出ることもなく、ひたすらしゃべり倒し、定時に帰っていく…。
ところが、彼がいつ頃からか、ウキウキとして楽しそうな感じになっていったのだ。私はその原因を後に知って唖然としたのだった。
最初のコメントを投稿しよう!