第二章 豪快な猛者たち

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「葉巻のオヤジ、肺がんで死んじゃった……って」  私は愕然とした。そしてあの年賀状のひとことを思い出したのだ。言ってくれたらよかったのに!!ずっと具合いが悪くて入院していたんだろう。息をするたびに痛くてたまらなかったんだろう。お見舞いぐらいどうして行ってあげられなかったんだろう。  葉巻オジサンの意地っ張りや強がりなところは、昭和の高度成長期にバリバリ働いてきたであろう、根性の塊みたいな男気を垣間見た気がした。  作業着姿でのしのし歩きまわり、時にはお茶目な冗談を言ったり、笑うと眼が凄く細くなったり、軽トラックには日の丸のシールが貼ってあった葉巻オジサン。  今となっては申し訳なかったと思うばかりで空を見上げる。あの世で豪快に笑っているだろうか?  葉巻オジサン、ごめんよ…。遠くからご冥福を祈るよ…。
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