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「匠くんもおしゃれだよね。いまの若い子ってそうなのかな」
「若い子って、高良さんいくつ?」
「今年二十七だよ」
「じゃ、六こしか違わないじゃん」
「二十代の六才差は大きいよ」
「そんなことないよ。一緒に酒も飲めるし映画も見るし」
「確かにそうだね」
高良は否定せずにうなずいた。
「この後カラオケ行くかも知れないし、恋愛関係になるかもしれないよ?」
「カラオケはともかく、恋愛は無理だろ」
高良はあっさり笑っている。彩との話だと思ってる?
「年下はダメ?」
おれはさりげなく目線を合せて微笑んだ。
彩は素知らぬふりでナンをちぎっている。もう高良がおれの好みで口説くつもりなんてことはわかっていて、内心ではおもしろがっているに違いない。
「ダメかどうかわからないけど……」
高良の目がちょっと泳いだ。
言葉を探すように口ごもり、ふっと赤くなる。
あれ、思ったより純情? こんなカッコいいのに? ちょっと揺さぶってみる?
「高良さん、カッコいいし、モテるでしょ? 彼女います?」
「いや、いないよ」
「じゃあ、彼氏は?」
「え、いるわけないだろ」
びっくりした顔で返事が来た。
そうですかー、いるわけないだろと来ましたか。でも高良さんはいける気がするんだよね、おれの直感的には。
「どっちにもモテそうなのに」
「そんなことないよ。それに恋愛スキルが低いからすぐ振られるんだ」
「へえ? それは意外」
追加のハイボールを頼んで、さらに突っ込んだ。
「何ていってフラれるの?」
「んー、何だろうね。でも本当にそんなにモテないし、あんまり恋愛経験ないよ」
困った顔でそう言った。その態度ははぐらかしているようには見えなくて、匠は本音を探ろうとじっと高良を見つめる。
マジかな、本当にあんまり経験ないのかも。ますますおいしい。
「ふーん。見る目ないね。おれなら高良さん、大事にするのにな」
しっかり目線を合わせて微笑むと、高良は慌てたように首を振った。
「いやいや、ないだろ。年下から大事にされるとか」
突っ込むとこ、そこなの?
無意識なんだとしたら、ほかの奴から目を付けられる前に、おれのにしちゃいたいところだ。
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