入学式

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「響ー、なんかおかしくない?このカッコ。」 今日は天川女子短大の入学式。 となりに座るちいちゃんが、スーツをつまんで言う。 「まあ、地味だよね、、。」 スーツ姿の私たち。 なんだか変な感じがする。 いつもは見慣れた制服だったから。 「ほんと女子ばっかだねー。女子校ってこんな感じだったのかなー?」 周りをみると女子ばかり。 「そうだね。」 周りを見渡せば、お化粧をしたり、髪の毛を上手にまとめたり、可愛い女の子たちが沢山いる。 となりに座るちいちゃんも、お化粧を上手にして、髪の毛もアップにしていてかわいい。 「わたしも髪の毛伸ばそうかな。」 なんだか、周りが眩しくて、遅れをとっている気分になる。 「うんうん!響髪の毛伸ばしたらかわいいよ!!。お化粧もしたらかわいいし!」 ちいちゃんに今度お化粧教えてもらおうかな。 そんなことを思っていると、学長さんの挨拶が始まり、入学式の式典は始まっていく。 1時間くらいで式は終わり、ちいちゃんが背伸びをした。 「あー!!疲れた!。話長すぎ!」 「そうだね」 「これからまたオリエンテーションだよねー?」 「そうだね」 「もう疲れたー!。早く帰りたい!」 ちいちゃんは飽き飽きしている様子だ。 別室に連れていかれ、学部のオリエンテーションが始まる。 文学部は2クラスあって、私たちは揃ってAクラスになった。 「なんか高校みたいだねぇ。」 ちいちゃんが言う。 教室に40人。 女子ばかりが席に座っている。 教室も座席も、本当に高校のようだ。 「なんか思ってたのとちょっと違うね」 もっと広い講堂で授業するのかと思っていたんだけど、ここで日々学ぶらしく。 やっぱり大学と短大では規模が違うのかななんて思っていた。 オリエンテーションは2時間ほど。 それぞれの自己紹介と、担当教科の先生が紹介され、本当に高校の延長のような感じだった。 2時間座っていたから、疲れが出る。 終わって教室内がざわざわし始めた。 みんな鞄をもって、帰り支度をし始めている。 同じ高校から来たのか、すでに仲良く話をしている子たちもいる。 新しい友達、、、できるかな。 ちいちゃんとは席が離れてしまったけれど、 ちぃちゃんと同じクラスで本当によかった。 椅子から立ち上がって、ちいちゃんのところに行こうとした時、隣に座っていた女の子が話しかけてきたんだ。 「あのぅ、もしかして、南高の弓道部だった?」 突然話しかけられたから少しびっくりする。 「うん。」 「そーでしょ?なんか見たことあるなと思って!!」 ポニーテールで、なんだか活発そうなその女の子は笑顔がかわいい。 「私、北高の弓道部だったの!!。南高の弓道場借りてた時も見たし、高体連でも見たことあって、もしかしたらそうかなと思って!」 北高の弓道部!? あー!そっか。 北高の弓道部は確かにうちの弓道場に少しの間来ていたことがあった。 北高の弓道部といえば、、、。 藤岡くんの顔が浮かんだ。 藤岡くんの事を考えると、少し胸が痛む。 こんなところで北高の弓道部の子と会うなんて。 でも、藤岡君と私の事は知らないよね? と思いつつ、 少し、ドキドキしている私。 「私、鎌倉さくらです。明日からもよろしくね!!」 と明るく話す笑顔がかわいい女の子。 「島田響です。こちらこそよろしく!」 なんだか、いい子っぽい。 友達になれそう。 藤岡君との事も知らないみたいだし。 そう思うと、少しほっとした。 「響ちゃん、南高からここ1人?」 「ううん、後ろに友達いるよ。その子と2人なんだ。」 「そうなんだ!あたしも北高から2人なんだけど、クラス離れちゃって!!。」 そんな話をしていると、ちいちゃんが駆け寄ってきた。 私たちが話をしているのを見て駆けつけてきたんだ。 「響ー!なに、もう友達できたのー??」 「あ、見たことある!友達も弓道部だったよね?」 ちいちゃんを見て、さくらちゃんはそう言った。 ちいちゃんは「??」っていう顔をしている。 「ちいちゃん、さくらちゃんって言って、北高の弓道部だったんだって!」 ちいちゃんに、さくらちゃんの事を教えてあげる。 「えー、北高の??」 ちいちゃんもびっくりしている。 「うん。鎌倉さくらです。よろしくね!」 そう言って、ちいちゃんにも明るい笑顔を見せたさくらちゃん。 「そーなんだー!!へぇー!弓道部繋がりだね!!あたし、千草恵!ちいちゃんって呼んで!!仲良くしよー!!」 いつもの口調で、さくらちゃんとすぐ仲良くなるちいちゃん。 「ちいちゃんと響ちゃんね!。あとで、隣のクラスの友達も紹介していいかな??。 たぶん1人だから、戸惑ってると思うんだ!!仲良くしようよ!!」 さくらちゃんは明るくそう言って来て、 私たちは「うん!!」と答えた。 入学式ですぐこんな仲良くなれそうな子に出会えるなんて。 なんだか嬉しい。 3人で教室を出て、隣のクラスをのぞいてみる。 ここも40人全員が女子で、当たり前なんだけど、なんだか威圧感がある。 ちょうどBクラスも終わったようだ。 ぞろぞろと鞄を片手にスーツ姿の女子たちが教室から出てきた。 その中から、さくらちゃんの友達らしき人が、手を振る。 「さくらー!!」 「美香ー!!こっちー!!」 私たちをめがけて、急いでやって来たのは、おだんご頭の小さな女の子。 「紹介するねー!片山美香ちゃん!北高ではバスケ部だったんだー!」 さくらちゃんが、そう言って友達を紹介してくれた。 バスケ部と聞いてびっくりする。 小柄なその子からはバスケは想像しがたい。 「なになに、さくら、もう友達できたの?」 「うん。北高の弓道部なの、2人とも。なんか見たことあって、声かけちゃった。」 「そうなんだ!私、片山美香です!よろしくね!!よかったー!私誰もこのクラス知らない子ばっかで、ポツンだったよー!!」 さくらちゃんも明るいけれど、美香ちゃんも明るくて、とても気さくな感じだ。 「ちいちゃんと、響ちゃんね!仲良くしようね!」 そう美香ちゃんに笑顔を向けられ、私とちいちゃんも「よろしくね!」と笑顔で返す。 さくらちゃんと美香ちゃん、新しい友達ができた。 「これから4人でご飯行かない??」 さくらちゃんの提案で、この後ランチに行くことになったんだ。
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