入学式

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4人で来たのは、短大の近くのファミレス。 今日は入学式とオリエンテーションでお昼に終わったから、ちょうどお腹も空いていたところ。 「南高って、かっこいい人多いよね!!」 そう唐突に切り出したのは美香ちゃんだった。 「えー、そう??」 ちいちゃんが首をかしげる。 「南高のバスケ部の男子はかっこいい人多かったよー!!」 美香ちゃんは、高体連で見た南高の選手の中で、かっこいい人がいたっていう話をし始めた。 「あー、それなら南高、弓道部の主将かっこいいよね??」 さくらちゃんもその話に乗りつつあり。 「えー!主将って、浩介のこと??」 あたしとちいちゃんは2人で顔を見合わせて、目を丸くした。 確かに、浩介は見た目はかっこいいって高校時代では、目をハートにしてる子もいたけど。 いつも見ているからなぁ。 「名前はわかんないけど、かっこいいよ! でも、なんか二股かけたりして性格超悪いんでしょ?北高の女子が酷い事されたって話有名だよねー?」 「うん、そうそう。超有名!ひどい男だってみんな噂してたよねー?」 さくらちゃんと美香ちゃんがそんな話しているのを聞いて、ちいちゃんと顔を見合わせる私。 思い当たるふしがあると言えば、ある。 そうか。 北高といえば、、、。 、、、初芽ちゃんだ。 北高では、浩介は相当ひどい男になっているようで、ちいちゃんと2人で苦笑いをした。 そんな噂になっているとは。 浩介も可哀想だけど、、、。 初芽ちゃんの件はなぁ、、なんとも言えない気もする。 ちいちゃんが、流れを変えようと違う話題を振る。 「うちより、北高の方が、かっこいい人多いイメージだよねー??。頭いい人多いし!」 確かに北高は進学校で、南高よりランクが高い。 美香ちゃんとさくらちゃんは、お高い顔を見ながら、「うちの高校誰がいたっけー?」と考えている。 そして、美香ちゃんが、思い出したように口を開いた。 「あー、モテてたといえば藤岡じゃない??」 「そーだねー。藤岡モテてたよねー。」 2人の会話から藤岡という名前が出てきて、心臓が飛び出るかと思った。 藤岡くん!! ちいちゃんとまた、目を合わせてしまう。 藤岡くんの話題は避けて通りたいところだけど、さくらちゃんは部活が一緒だったし。 いつかは話題になるかもとは思っていたけれど。 藤岡くん、モテていたんだ、、、。 うちの後輩も、かっこいいって言ってたっけ。 写真撮りに行ったこともあったなぁ。 でも、なんだか気まずい。 藤岡くんは、あたしを好きだと言ってくれた人だ。 結局私は先生を選んだんだけど、、、。 そんな私を好きだと言ってくれた優しい人。 なんか心が痛むなぁ。 そう思いながらジュースに口をつける。 やだなぁ、藤岡くんの話題、、、。 そう思っていると、さくらちゃんが爆弾を落としたんだ。 「そーいえば、藤岡、南高の弓道部の女子と付き合ってたよね??響ちゃんたち知ってる??」 飲んでいたジュースを吹き出しそうになった私。 隣ではちいちゃんが、じっと私の顔を見ている。 とても気まずい。 焦って私はちいちゃんに目で合図する。 「さあ??。知らないよね!!ちいちゃん!!」 焦る私に、ちいちゃんも空気を読んでくれたみたいで。 「うん。知らなーい。」 と知らないフリをしてくれた。 ちいちゃん!ありがとう!! 藤岡くんのとのことを思い出すと、切なくなる事もある。 だけど、もう終わった事なんだ。 藤岡くんと会わなくなってからは、あまり考えないようにしていた。 「そうなんだー。まぁ、藤岡モテるから、東京の大学でも、すぐ彼女できるんじゃない??」 さくらちゃんが言った。 「そーだねー。」 と美香ちゃんも返事をする。 藤岡くん、、、。 東京の大学行ったんだ、、、。 なんとなくほっとしている自分がいた。 これから先どこかで出会ったら、気まずいなぁなんて思っていたから。 もしかしたら市営の弓道場で会うかもしれないし。 藤岡くんと会わなくなってから、弓道場へ行くのをためらっていたのも事実で。 藤岡君の事を思い出して、少し切ない気持ちになっていたところで、、、。 「ねえ、ねえ、2人とも彼氏いるのー??」 と、急に場の雰囲気を変える、ちいちゃん。 「ちいちゃん!会ってまだすぐだよ??」 今日会って、すぐその話を聞く!?!? ちいちゃんを制止しようとしたけれど。 ちいちゃんはノリノリだ。 楽しそうに恋バナをし始める。 急にそんな話をしたから、2人ともびっくりしているのかと思えば、2人はなんだか楽しそうで。 「さくらはいるよねー!超イケメンの彼!!」 美香ちゃんがニヤニヤしながら言う。 「イケメンじゃないよー!普通だよ!普通!!」 さくらちゃんが顔を赤くして照れながら言う。 「へぇー!!イケメンなんだー!!」 ちいちゃんが楽しそうに話に加わる。 「えー!全然イケメンじゃないよー!普通だよ!普通!!。美香やめてよー!ハードル高くするの!美香だって、今いい感じの彼いるじゃん!!」 「うちはまだ片思いだもん!いーなー、さくらは。ほんと、羨ましい!!」 さくらちゃんは高校の時から付き合っている同級生の彼氏がいるみたい。 高校からラブラブな様子で、彼氏は今は近くの大学に進学をしていると言う。 一方、美香ちゃんは、短大の合格が決まってからカフェでアルバイトを始めたらしく、そこで出会った2つ上の大学生に想いを寄せているみたい。 この前デートをしたらいけど、まだ付き合う話には至っていず、、、な状況らしい。 そんな2人は楽しそうに恋バナをしている。 そこにちいちゃんも加わって、気づけば3人で盛り上がっている。 「あたしの彼は弓道部の後輩なんだけどぉー、結構かわいいんだ!!」 ちいちゃんも嬉しそうに、話していて。 なんだか3人楽しそう。 やっぱり女子が集まると、恋バナなんだなぁ。 1歩引いて、3人を眺めている自分がいる。 ちいちゃんには先生との事を、少し相談したりする事はあるけど。 あんまり自分から積極的に恋愛の話はしないからなぁ。 3人の話を聞いていて、やっぱりみんな女子だなぁと思う。 私と先生の関係は、秘密にしていることが大前提だったから、なおさら言えなかったっていうのもあるんだけど。 こうやって3人の恋の話を聞いていると、なんだかとても楽しそうで、少し羨ましい。 そんなことを考えながら、3人の相槌を打っていると、美香ちゃんが私に聞いてきたんだ。 「響ちゃんは??彼氏いないの??」 え??
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