入学式

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「響ちゃんもいるんでしょ?好きな人!!」と、自然に聞いてくるさくらちゃん。 「あー、ええと、、、。」 言うか言わまいか考えていると、横から口を開いたのはちいちゃんだった。 「いるいる!響なんて超ラブラブなんだからー!!」 ラブラブ、、、って、ちいちゃん、、、!! 「えー、どんな人ー?同い年ー?大学生ー?」 2人からの質問攻撃に、タジタジしてしまう。 「え、いゃあ、、、」 どうしよう。 困っている私の横で、ちいちゃんが爆弾を落とそうとしたんだ。 「響の彼はねー、うちらの担、、、うぐぐ」 !!!! ちいちゃんが「担任」って言おうとしたのがすぐにわかった。 とっさにちいちゃんの口を手で隠しちゃった私。 目の前に座るさくらちゃんと、美香ちゃんはきょとんとしている。 逆に怪しまれる! そう思って必死で言い訳を考える。 「いやぁ、あのね!うちらの短大の近くで働いてる人でね!!!」 さくらちゃんは、何も疑う様子もなく、「そうなんだー。」と言っている。 少しほっとした。 美香ちゃんも疑うことなく、 「社会人なんだ!じゃあ年上なのー??」 と会話をつないでくれる。 隣でちいちゃんは、不服そうな顔をしてるけど。 でも、担任って話してしまうのはさすがにマズイ気がして。 隠す事もないのかもしれないんだけど。 でも、ちょっと気が引けてしまったんだ。 「うん。年上なの。年上!」 まだ少し動揺している私。 「いくつ上なのー??」 美香ちゃんが聞いてくる。 「9個だよ。」 私がそう答えると、2人は目を丸くした。 「9個!?!?え、じゃあ、うちら18だから、、、え!27!?。すごーい!!めっちゃ大人じゃん!!。」 とてもびっくりしてる2人。 そんなに驚かれるとも思ってなかった私は、予想外で。 そんなに驚くことなのかなぁ。 2人を前にして、冷静な自分もいて。 あんまり年の差を気にしてないからかな。 でも、そうだよね。 高校を卒業したての18の私達からすると、27歳って、すごい大人なんだよね。 そうか。 そういう反応になるのか。 「いいなぁー!年上の男の人ってなんか憧れるよねー!!大人って感じするよねー??」 美香ちゃんが少し興奮しながら言う。 そういうものなのかなぁ?? 「私から見たら、全然かっこよくないけどねー!響はぞっこんだもんねー!!」 ちいちゃんが隣で不服そうに言う。 口止めされたことをまだ気にしてるみたいで。 心の中で、ちいちゃんに謝る。 ごめんね、ちいちゃん!! その後も女子トークは進み、時計は3時を過ぎていた。 「じゃあ、また明日ね!」 「またねー!!」 ファミレスを出て、2人と別れる。 ちいちゃんと歩きながら帰る。 隣で、ちいちゃんがボソッと呟いた。 「響、隠すことないのに!!」 「ごめんね!ちいちゃん!!。でも、なんか言えなくて。」 ちいちゃんは、さっきの事を気にしているみたい。 「もう卒業したんだし関係ないじゃん!」 そうなんだけど、、、 「なんか、響我慢してるみたいで嫌だよ!!。 隠したり、もう、そんな事することないのに!!」 我慢、、、か。 ちいちゃんは私の事をよく知っていて、高校の時から先生との事は相談に乗ってもらった。 私が先生との関係で悩んだりすると、誰よりも心配してくれるのがちいちゃんだ。 ちいちゃんは、もう私に我慢して欲しくないんだ。 堂々としていて欲しいんだ。 友達思いのちぃちゃん。 その気持ちが痛いほど伝わってくる。 「ありがとう、ちいちゃん!。ちいちゃんの気持ち嬉しいよ。」 「なんか、嫌なの!もう、響が伊藤のことで悩んだり、苦しんだりするのが嫌なの!。 後ろめたい事なんて何もないんだから!! 響にはいつも笑ってて欲しいんだから!!」 ちいちゃんが真剣に言う。 その気持ちが嬉しい。 「うん。ありがとう。」 「まぁ、響の1番の親友は私だから??。私だけが知っててもいいんだけどさ!。でも、せっかく仲良くなったんだから、みんなで恋バナとかしたいじゃん!」 ちいちゃんはそう言うと、ニヤッと笑った。 「そうだね。」 2人ともっと仲良くなったら隠さず話をしてみようかな。 先生との事。 私の大好きな人の事。 ちいちゃんの気持ちにも応えたい。 そう思ったんだ。
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