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リード…
聞き覚えのある声に、ふと我に返る。
少し離れた木の影に、懐かしい姿があった。
ーーオマリだ。
昔のオマリのように、やわらかな美しい金色の髪をなびかせ、穏やかに、静かに佇んでいた。
「オマ…リ……?本当に…オマリ……なのか?」
リードは目を細め、用心深く問う。
なぜオマリがここにーー?
生気を失ったようだったオマリが、昔の面影そのままに微笑んでいるーー
それがリードには腑に落ちなかった。
オマリは何も答えない。
リードの心はざわつく。
不安を煽るように、オマリが一歩足を踏み出した。
そして一歩、また一歩とリードに近づいてくる。
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