脱出

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レガルトの港町―― 夜の酒場は旅人や商人、船乗りたちで賑わっていた。テーブル席でわいわい仲間と騒いでいる者たちもいれば、一人静かにカウンターで飲んでいる者もいる。 その中には、今年20歳になったばかりのロッシュ・リードも密かに紛れ込み、賑わう酒場の隅っこのテーブル席で一人、酒を手に酔いしれていた。 不意に声をかけられたのは、そんな時だった。 「あ~ら、お兄さん。イ・イ・お・と・こ」 リードはその人物を一目見るや否や、即座に眉間にシワを寄せる。 目の前の人物は、ふわふわした踊り子のような服を着た、おさげ髪の大柄な「お・と・こ」だったからだ。 177㎝あるリードよりも、かなりがっしりした男だ。 そんな大男がお姉言葉を使っていることが、リードには異様に見えたようで、僅かに身を引く。 「あらお兄さん、怖がらなくてもいいのよぉ」 男は勝手にリードの隣の席を陣取り、科をつくる。 「誰も怖がってなんかねーよ!」 リードは男の言葉にムッとしながら、酒のコップをダンッとテーブルの上に落とし声を荒げた。 「あら、怒るとますますイイ男ね」 男はお構いなしに喋る。
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