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「っ、ぅぅ……」  くちゅくちゅと擦られる亀頭の先。引き締まる下腹部。どうしようもできなくて。どうしようもならなくて。太一は眦に一雫の涙をこぼして、輔に訴えた。  恥ずかしくてたまらない。こんな羞恥、他にどこにあるのだろう。辱めに近い行為が、すぐそこに迫っている。太一は利き膝を輔の腹にこすり付けた。  輔の言うことが本当なら、太一が考えるようなことにならないはず。それを信じて、戦慄く体を開放しようとするがどうしても理性が拒む。  だが、そんなこと輔にはお見通し。容赦なく先を擦られ苦痛なのか快感なのかあやふや中、段々と苦痛が鳴りをひそめてゆく。困惑は荒い息に吹き飛ばされて、浮いた腰に愉悦の色が濃く表れていた。 「ぁ、……ぁ、ぁ、あ、や……ッ」    息を詰める。深く。強く。  全身を真っ赤に染めて理性だけでは堪えきれなかったものが、太一をあざ笑うようにして溢れた。 「ンンッ……ぅぅ、ぅ、ふ……、ァア……ん」  ガーゼを突き抜けて、吹き出す透明な体液。  吐精するときの突き抜けるような快感とは違い、淡いが痺れるような快感が太一を襲う。輔がガーゼを動かすたびに吹き出す透明な体液が、白い肌を穢した。小水とは異なるそれは赤い布団を深紅に濡らし、その様をカメラに晒す。  満足げに輔が喉を鳴らした。低く笑う男が手を止めて、顔を寄せてくる。何をしようとするのか察した太一は慌てて体を起こし、体液を布団の上に垂れ流した。透明な、潮と呼ばれる液体が綿の布団に染み込んでゆく。 「太一」    柳眉に不満を乗せてきつく眉根を寄せた輔だが、怖くはない。 「汚いだろっ?」 「どこが?」 「い、色々……っ」 「どうして? 太一のならおし」 「ッ、そんなことしたら二度としない!」  小学生みたいなことを言った自覚はあった。もっと他に言いようがあっただろうと情けなくなる。しかし、輔には何故か効果があったようでピタリと動きを止めた。整った顔に「それは絶対に嫌だ」と書いてあるのが分かるほどだった。  頷いて了承した彼に、約束だと念を押す。不満そうな顔には目を瞑って、無視を決め込んだ。ここで甘い顔をするのは命取りな気がした。 「でも、これはいいよね?」  濡れた腹部を白濁同様に舐め始めた輔に、正直戸惑いを隠せない。  人のことは決して言えた立場ではないが(変態だ……)と素直に思う。個人的に輔の容姿に惹かれて写真を撮ったり動画を撮ったりしていたが、ここまでしたいとは思わなかった。  自分の更に上を行く輔に戸惑いも強いけれど、嫌悪感とは異なるものだ。輔への愛情が覆るなんてことはなく、むしろ固執されることに歪な安心感を得ていた。  気が済むまで腹部を舐めていた輔だが、今度は太一の体を反転させ腰の下に枕を四つすべて敷く。なんのために枕が四つもあったのか疑問だったが、今解決した気がした。腰から先だけ高く上がった状態に、あ、と言う暇すらなく臀部を左右に割られる。 「ンぁっ、や、……っ、ぁ」  実に器用に。襞に濃厚なキスをしながら、輔は濡れたガーゼを屹立へ巻き付けた。根本を縛られ、小さな痛みが走る。 「やめ……て」    拒絶の声すら甘い。内側から舐められる内壁にゾワゾワした感覚が広がり、視界が潤む。だがそれが決定的なものにはなることはなく、息ばかりが乱れ体は熱くなる一方だ。苦しくて、もどかしくて。体を捩る。 「っ、ぁ……ンン」  ぬぷ、と……襞が鳴った。引き抜かれた舌先の代わりに、ローションの塗られた指が一本入ってくる。違和感は舌以上で驚いたが、すぐに慣れて指を二本に増やされた。  さすがに一本と二本では質量が違う。内側からの圧迫感に顔を顰める太一だったが、それでさえ時間が経つうちに解消された。    その行為に、どれだけの時間かけられたのだろう。いつの間にか指は三本に増えて、それを輔の口から聞かされた時は本当に三本をも入っているのかと驚きを隠せなかった。  体はこれ以上なく火照り、喉をすり抜ける息すら熱いほどだ。襞の奥を指先で突かれるたび、ガーゼに包まれた屹立が震える。ピクン、ピクンと揺れる様はひどく卑猥で、赤く色づき充血した亀頭の先が透けて見える様は輔の目を実に楽しませていた。  
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