不思議な写真

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不思議な写真

私は『え?』と思った。 昨日私は、結婚式の最後に互いの両親に花束を渡した覚えがある。 妻が私の母に『花を渡している』事をちゃんと覚えている。 すぐさま結婚式の写真をさがした。 そこには、妻の両親と妻の横でほほえんでいる母がたしかにいた。 「ほら、母さんが写っているじゃないか。」 その写真を妻に見せたが、妻は、申し訳けなさそうに私に言った。 「ごめんなさい。私にはあなたのお母さんが見えないわ。」 「そうあなたは、披露宴でお母さんの席を準備して、最後に家族で写真を撮ろうと言った私は、その席に花を置いた。」 「不思議よねこの写真、本当にあなたの隣にお母さんがいらっしゃるみたいね。」 私は、妻の話がどうしても理解できなくて、十五年より前のアルバムを探した。 どれも母と一緒に写っている。 今度は、それらを妻に見せた。 「当時、初めてアルバムをあなたに見せてもらった時から不思議だったの」 「お母さんとまるで一緒に写っているように話をしながら見せてくれるから。」 「そうあなたしか写っていないのに・・・でも横にだれかがいるみたいな、不思議な感じはしていたわ。」 「今までどうして・・・。」 妻は、今にも泣き出しそうは表情になってきたので、私はそれ以上言えなくなってしまった。 それが妻の「やさしさ」だったのだろうか。 しかしこっけいな事だ、母と写っている写真の母は、妻には見えていなかったのだから。 私は、今度は十五年より後の写真をさがした。 病院のベッドで体をお越し、ほほえんでいる母の写真があったので妻に見せた。 「この病院で亡くなられたのね。」 妻は私に写真をかえした。 「出かけてくる。」 妻にそう言って、アルバムを抱えて外に出た。
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