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「そろそろって……?」
咲久マスターのつぶやいた言葉の意味がわからず、聞き返す。
「俺の判断で悪いが――」
カランー 来店を告げる鐘の音色が、まだ静かな店内に響く。
何かを言いかけた顔が、出入り口の方向へと向いた。マスターにつられて振り返る。
綺麗に整った顔立ち。細見な外見に控えめな光沢を放つスーツ姿。甘ったるい雰囲気を装いながら、表情を変える事をしない。
その冷静さに苛立つ―― 湊斗の姿。
何故、湊斗が此処に。
「陸矢、お前何してんだよ」
湊斗の声は珍しく荒いで聞こえる。
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