突然の始まり

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 微妙にわかんない、まるで記憶がないっ。      慌ててシーツを首の下までずり上げて、陸矢の右手から避難する。 「もしかして、覚えてないんだ?」 呆れた様な低い声に陸矢を振り返る。口元を上げて悪戯に微笑んでる。   目で辺りを探ると、ベッドのずっと向こうに、脱ぎ捨てられた服が散乱してるのが見えた。とにかく服を着なくちゃ。  胸元のシーツを抑えたまま起き上がろうとした。 「え……っ」 いきなり陸矢の右手にぐいっと腕を掴まれた。  「マジで覚えてないんだ?」 掴んだ腕を離してくれないから、顔だけ陸矢からそっぽを向いた。 「ごめん、陸矢。まるで記憶がない」  飲んで皆で盛り上がって騒いで。ずっと横に陸矢がいてくれたような気はするけど。  愚痴大会開いて。それから…… 眠くて眠くて。     かぷ。耳たぶ噛まれたっ。
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