突然の始まり

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「あほ ……瑠香」 額に口づけて、陸矢が困ったような眼差しを向けた。  ふれたい__ 衝動が私を動かした。    高鳴る鼓動に深呼吸をして、そっと腕を伸ばしてみる。陸矢の頬に指先で触れてみる。  優しく瞳が笑みをこぼしたから、手の平を広げて陸矢の頬を包んでみた。     陸矢ってこんなに男っぽい表情してた? 湊斗ばかり見ていたから、気が付かなかった。  意識してしまったらドキドキが収まらない。妙な恥ずかしさが込み上げる。  思わずグイッと陸矢の耳たぶを引っ張ってた。 「お返し!」 一瞬、陸矢はキョトンッと目を丸くして。次の瞬間にはもう笑っていた。  屈託なく笑う優しい笑顔。いつもそばにいてくれたのに気が付けなかった。     「やば……瑠香、可愛い」 髪を撫でるその指が私の頬に触れる。もっと陸矢に近づきたい。私どうしちゃったのかな。
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