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声が出ない
即日父が出張先から急いで戻ってきて、母と僕のいる病院に来てくれた。
「遅くなってごめんな・・。」
父は僕を抱き締めながら母にも話しかけたが、もう母は何も答えてはくれなかった。
僕はその日から、声が出なくなった。
『母を失うきっかけを作ったのは僕のせい』そう僕の心が決めて僕の悲しい、気持ちを声と一緒に封印してしまった。
僕は、色んな理由で声が出せなくなったお友達が多くいる学校で勉強する事になった。
僕は父に連れられてその学校に向かう途中、向かってくる車に気が付かず横断歩道を渡ろうとしている母子を見つけた。
父の手を引っ張り合図すると同時に「危ない車が来ている。」
あらんばかりの声をふりしぼって僕は叫んだ。
間一髪その親子は、車を避ける事が出来た。
僕はホットした。
父は僕が声を出せるようになった事に驚いていた。
間一髪車をよけることができたその親子は、父が強盗に襲われて、その女の子が僕と同じようにショックから、しゃべれなくなったと教えてもらった。
僕は声出るようになったけど、その子と一緒にいたくなり、同じ気持ちを持つ仲間がいる学校に通うことにした。
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