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「春休みだー」
「はいはい。美波はしゃぎすぎ」
「だって、春休みだし。舞ちゃんだって嬉しいでしょ?」
あたしは、唯一のクラスメイトの舞ちゃんにそう尋ねた。
この村には、ほぼ子供はいない。
自然は豊かで、畑や林がひしめいている。
野生の動物だって出る。むしろ野生の動物よりも人間のほうが少ないんじゃないかなって思う。それぐらいのド田舎である。青い匂いがいつも漂ってるし、のどかとえいばのどかであるけれど……何もない。だからあたしは東京にずっと憧れて生きてきた。
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