🍀 M I E L 🍀 小さな猫のおはなし

🍀 ケイと私 🍀

私はケイが用意してくれたベッドから静かに降りると、灯りの漏れているドアの隙間へと音を立てずに忍び寄った。

ケイはドアを閉め忘れたのか、わずかに開いているその隙間は、偶然にも丁度いい具合に私が通れるくらいの幅があった。

全くケイは無用心だ‥

「人間の考え方は複雑で物事が期待通りに運ばないとすぐに落ち込んだり悩んだりする。」
「それは私達より多くを望むからだろう」と、お母さんが言っていた。

私達猫は現実を受け止め至ってシンプルな生き方に誇りを持って生きている。

私はお母さんから人間について聞けば聞くほど人間とは何と謎の多い生き物だろうと困惑した。

果たしてそんな人間とパートナーとして分かり合う事が出来るのだろうか。

不安は膨らむばかりだった。

けれど‥今その不安はジャズの優しいピアノで少しずつほぐれてゆく。

私はケイにそっと近付きその横顔を見上げた。