🍀 M I E L 🍀 小さな猫のおはなし

🍀 私のなまえ‥ 🍀

そっと見上げたケイの横顔は何か真剣に思い悩んでいる様子だった。

暫く観察していると、ケイの手元には携帯電話とメモがあり、さっきから携帯を操作しては何か書き、書いては手を止め「う〜ん‥」と唸りながら天井を見上げる。
それを何度も繰り返している‥

やはりケイも人間として生きる上で複雑な問題を抱えているようだ。

それにしてもこんな近くに来ても私に気付かないなんて、何と無防備なのだろう。
動物としては致命的だ。
忍び足には自信のある私だけれど流石にこれでは先が思いやられる。

私は思い切って「どうしたの？」とケイに声をかけてあげることにした。

「にゃぁ〜ん？」
「よし！これに決めた！」

ケイと私の声が同時に重なった。

「わぁっ！」
ケイは驚いて持っていた携帯を落とすと両腕を上に挙げたまま下を覗き込んだ。
そして私を見つけると驚いたその顔はたちまち笑顔に変わった。

大きな音が苦手な私は、落ちた携帯の音に一瞬たじろいだもののすぐにケイに抱き上げられテーブルの上に乗せられた。

真正面にケイと向き合う。
ケイは私の目を見つめながら

「チビちゃん起こしてごめんね‥」
「チビが途中で目が覚めても、このお部屋に入って来られるようにドアは少しだけ開けておいたんだけど、チビは賢いね。」

あれは私が来るかもしれないと思ってわざとドアを開けておいてくれだんだ。
しかも丁度私が通れるくらいの幅。

うん、ケイもなかなか先が読めるじゃない！
それって生きていく上で大事な事だよね。

私はケイを褒めてあげた。

「にゃぁ〜ん！」