🍀 M I E L 🍀 小さな猫のおはなし

🍀 リョウと仔猫 🍀

私達は男の子と女の子それぞれ三匹ずつで産まれた。
男の子達三匹はキジトラ。
私以外の女の子は二匹とも黄色い柄‥
私だけがキジ白‥黄色い柄‥可愛いいな‥

そんな事を考えていた時お母さんが‥
「あなたは小さい頃の私にそっくりね」
と言って笑った。

お母さんが産まれた時、他の兄弟はみんな黒猫だった‥その時はじめて聞いて驚いた。

「みんなと同じじゃなくて良いじゃない。違う所が素敵。そう思って今まで生きてきたわ」

以前、山田さんが
「野良で白猫だと外敵に狙われやすい‥シロは賢い子ねえ‥」と近所の人と話しているのを思い出した。

その日から私は自分の柄が大好き。
お母さんの白い毛並みが入っているのも気に入っている。

私は最後に産まれたせいか、みんなの中で体がいちばん小さかった。
でも、ご飯を食べるのも一番早かったし、虫取りも一番上手だった。
みんなは、そんな私を男の子みたいだと笑った。

私は少し変わっていた。
日向ぼっこをしながらみんなとじゃれたり、追いかけっこをするのも勿論好きだったけど、同じくらいひとりで過ごすのも好きだった。
そしてみんなと違う所がひとつ。
それは人間の言葉が理解できた。
なので、山田さんちのテレビを窓越しに見たり、お母さんの隣で人間の会話や表情を静かに観察する事はとても興味深い事で大好きだった。

人間の言葉は話せないだけで、なにを話しているのかはとても良く理解できた。
それはお母さんも同じだった。
どうやら代々産まれた子猫達のメスの一匹だけに受け継がれる能力らしく、私と一緒に産まれた他の二匹の女の子達はわずかな言葉しか理解出来ないようだった。

そんな事もあり、私はみんなが山田さんに懐いて甘えていく様になっても少し離れた所からその様子を見守った。

私とお母さんは、ここ数日の山田さんの様子が気になっていた‥

そして今日‥
隊にお母さんが言っていた様にみんなが別々に暮らす時が来たのかも知れないと思っていた。

車のドアが開くと同時に箱が大きく揺れた。
箱は誰かに抱えられ乗せられて来た車からどんどん離れて行く。

急に人間の子供達の声で騒がしくなった。
又、箱が大きく揺れ外の空気を隙間から感じた。

突如眠りから揺り起こされたみんなは不安から騒ぎ出し‥
パニックで泣きながらお母さんを呼び続けた‥
私は箱の隅でじっと成り行きを見守った。

次の瞬間勢いよく箱が開けられ眩しい光に目が眩んだ。箱が開くと同時に‥

「うえー！ちっちえー！」
「俺にも見せろよ！」
「俺が先だぞ！」
「メッチャ可愛いなぁ！」
「おい！押すなよ！まだ俺が見てんだろがょ！」

ますます鳴き出すみんな‥
こんなん‥騒がしいの私的には無理‥‥

その時遠くから近づいてくる大人の声がした。

「リョウ！お前んとこも一匹欲しいっていってたよな？」

「はい‥ただちょっと条件があって、黄色い仔猫ってその中にいますかね？」

「あぁ‥オスかメスか分からんが‥さっき見たら二匹いたぞ！」

「よっしゃ！」

これが私が最初に聞いたリョウの声だった。