ある都市伝説

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ある都市伝説

やあ……、調子はどうだい? ……そうか。昨日も血を吐いたのか。つらかっただろう……。 そんなことないって? そうかそうか。強いんだな、お前は……。 ……そうだ! 今日は兄ちゃん、お前の好きな怖い話を持ってきたんだけど、聞くか? わかったわかった。そう、がっつくな。あんまり無理すると体調、また崩すぞ、まったく……。持ってきた話が、お前の知らない話だといいんだけど……。 『赤いアゲハチョウ』って、知ってるかい?  知らない……か。良かった……。 『赤いアゲハチョウ』っていうのは名前の通り、赤い蝶々の姿をしているんだ。見た人の話によると、とても毒々しいのにどこか幻想的な姿をしているらしい。 え……? UMAのたぐいみたいで、ありきたりだって? それだけじゃあないんだな、これが。 その『赤いアゲハチョウ』っていうのは死を運ぶ蝶なんだよ。それもただの死じゃなくて悲惨で血に染まるようなものを運んでくるらしいんだ。 そんな蝶には一生、会いたくないもんだね……。もっとも、数日前にそれらしい蝶を見てしまったけど。 どうだい? 怖くなってきただろ? 泣くな、泣くな! 大丈夫だって……。兄ちゃん、死なないよ。 すまん、ちょっと怖がらせ過ぎたか……。 じゃあ、今日はこれから仕事だから、もう帰るよ。また明日来る。じゃあ、またな。
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