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助けようとする社員より早く、大男たちがカイルと良平に勢いよく飛びかかっていく。カイルと良平がスッと身を屈め、男たちの懐に入ると、大男たちの上着の襟を掴んでほとんど同時に背負い投げをした。
大男たちは自分達が突っ込んだ勢いを利用されて投げられたので、加速しながら床に叩きつけられるはめになった。背中をしたたかに打ったために呼吸ができず、口を開け、舌を丸めながらピクピクと身体を震わせている。
「紐をくれ!」
カイルの声に弾かれたように動いたのは、女性社員のシンディーで、机の横に並ぶ資料入れの引き出しから紐を取り出し、近づけるだけ近づくと、カイルと良平に向かって紐を投げた。
偽警察官の上に乗って彼らの両手と両足をくくると、カイルと良平は額の汗を拭いながら顔を見合わせ、楽しそうに笑った。
「久しぶりに決めたな。良平に柔道を習っておいてよかったよ」
「傘か棒が近くにあれば、カイルに教えてもらったサバットで攻撃できたのに残念だ」
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