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まぁ、それが妥当な反応だろうとカイルが笑いをかみ殺しながら、30分早い終業を言い渡そうとしたときに、技術部では古株のベン・シュミットが良平に話しかけた。
「良平とカイルとも長い付き合いなのに、良平が柔道をカイルに教えてるなんて、知らなかったよ。いつ特訓をしていたんだい? それも、ものすごく強くてびっくりしたよ」
良平がちらりとカイルを見てから、気まず気に視線を戻し、考えながらベンに応える。
「あ~。何て言うか‥‥‥ほら、学生の頃、一時日本文化のブームが起きただろ? 僕たちの言霊の研究が始まったのもそれがきっかけだけれど、廃れてしまった日本文化に興味を持ったカイルに、百聞は一見にしかずって感じで、僕が柔道を押しつけたんだ」
カイルがもの言いたげに片眉を上げて、良平を見た時、眠っていた正直くんが、良平の言葉に反応して瞼を開けた。
「良平の言うことは正しくありません」
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