言霊通信社

18/23

77人が本棚に入れています
本棚に追加
/128ページ
 社員たちを帰すと、後に残ったのはカイルと良平二人だけになった。  言霊のパワーを増幅して、擬人化する装置を見つめていたカイルが、正直(まさなお)くんに語りかけた。 「良かったな。連れていかれなくて」 「はい。良かったです。カイル、良平、守ってくれてありがとうございます」 「カイル、しばらく正直(まさなお)くんを公の場に出さない方がいいかもしれない。どんな罠をしかけられるか分からないからな」 「ああ、俺もそう思う。仕方ないな。代わりに真実(まみ)を出すか」  カイルが呟き終わるや否や、正直(まさなお)くんがギャッと声をあげた。  その肩あたりに何でも見通すようなペールブルーの瞳を持ったショートボブの小さな女性のホログラムが浮かび上がっている。 「カイル、仕方無いって何よ! 私じゃ正直(まさなお)くんの代わりになれないとでも思っているの!?」
/128ページ

最初のコメントを投稿しよう!

77人が本棚に入れています
本棚に追加