【愛歌】の創作会議

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「そうか? じゃあ、こっちに来て、投影スクリーンにアイドルのイメージ画を描いてもらえるかな?」 「いや、やっぱりアイドルじゃまずいですね。シンディーの言う通りです。私は絵が苦手なんで‥‥‥」 「技術部のサブマネージャーが、図案も描けないってことはないだろう?」  カイルが席を立って、ベンに向かって歩き出すと、ベンが膝に置いていた手をポケットに入れる。  カイルがベンの椅子の背後から覆いかぶさり、右手にペンを持たせ絵を描くのを促すが、その実、反対の手でベンのポケットに手を入れて、隠したものを引っ張り出した。  ベンは青くなって唇を震わせている。ベンの隣に座っていた社員も、カイルがベンから取り上げたものを見て目を見張った。 「古株の君は、会議中に通信機器を持ち込んではいけないというルールは知っているはずだ。だが、残念なことに、この部屋は電波を通さないから、会議の内容は他には送れない。録音でもしていたのかもしれないが、どこに送るつもりだった?」
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