【愛歌】の創作会議

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 答える代わりに、ベンはあろうことか机の下に潜って、ロの字型に並べられた机の反対側に出た。ドアがすぐそこに見えて立ち上がろうとしたところを、良平に思いっきり踏みつけられ、無様に床に突っ伏した。  社員たちの行動は早かった、隣のオフィスに走って行って、ロープを取ってくるもの。カイルと良平の了解を取ってポリスに電話をかけるもの。カイルと良平が支持を出さなくても、あっと言う間に片が付いた。  昨日の事件と繋がるため、警察官がまたもや尋常でないスピードでやってきて、ベン・シュミットを連れていった。 「まさか、言霊捕獲機を昨日の奴らに渡した犯人は、ベンなのか?」  社員たちが、ひそひそと囁き合っている。ベンは、言霊通信社の設立時からいる古株なので、社員たちの動揺は大きかった。 「情報漏れは食い止められたかしら? 私たちの大事な言霊を真似されたり、さらわれたりしたくないわ」  シンディーが心配気にカイルを見ると、カイルが分からないと首を振った。
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