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「君がため 惜しからざりし命さへ 長くもがなと思ひけるかな」
意味の分からない日本語に、社員たちは一瞬、ぽかんとなったが、先に良平から、例え意味が分からなくても、愛の魔法の言葉とか呪文のように受け取ってもらえるかもしれないと聞いていたので、【愛の言霊】が言えば、愛の魔法の言葉に聞こえなくもないだろうと納得した。
愛自体が分からない者たちにとって、理解できない日本語の短歌や和歌は、この場合とても効果的な役割を持つのではないかと思ったのだ。
シンディーが、面白そうと言いながら意味を求めるので、良平は困ったようにぼそぼそと訳し始めたが、カイルが聞こえないから大きな声で言ってくれと、良平に文句をつけてから、大きくウィンクをした。
「カイル覚えてろよ。僕だって経験がないから、あまり自信が無いんだ。深くは突っ込まないでくれ。
えっと、意味は……あなたのためなら、捨てても惜しくはないと思っていた命でさえ、逢瀬を遂げた今となっては、あなたと逢うために、できるだけ長くありたいと思うようになりました…という情熱的な内容です」
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