【愛歌】の創作会議

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 例えば、使う言霊がいつも同じで、法律事務所などの信頼おける会社がアポイントを入れた場合、言霊通信社の方は、簡単な確認を済ませるだけで、デジタル化した言霊を相手先に送り、相手先は言霊を増幅装置で擬人化させることになる。  片や、ブラックスワンのように、初めて契約を希望した会社については、業務実績や内容を調査をしてからの契約となり、その結果、問題があると分かれば契約を断ることになる。断って大人しく引き下がればいいが、今回の場合は特にひどく、裏で言霊を手に入れようとする動きがあるので、予断を許さない。    契約企業側へ貸している言霊増幅器は、透明な特殊ケースに入っていて、直接中身に触れないようになっている。言霊も、その縦長のケースの中で形になるのだが、ケースについているスピーカーから声が聞こえるようになっていた。  もし、誰かが、言霊増幅装置を覆っている透明なボックスを壊そうとすれば、その映像がたちまち言霊通信社に通知され、言霊は即回収される。ボックスがこじ開けられれた瞬間に増幅器は発火して跡形も残らないようになっているので、言霊を手に入れようとすれば、今回のように、言霊通信社の言霊増幅器で擬人化した時を狙うしかなくなる。  もしもの場合を考えて、カイルと良平が、社員たちに知らせずに作った「査探(サタン)」という名前の言霊があり、秘密裏に情報を集めることができる。隠密行動をとらせるため、姿を消したりもでき、日本文化に詳しいものなら、昔存在した忍者を思い起こすかもしれない。
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