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「ああ、ブラックスワンの名前が2度上がった時から、何か引っかかてな。一度目はブラックスワンからの契約の申し込みを断った。2度目にホワイトビレッジから、ブラックスワンとの取引を前提にした契約書の調査を申し込まれた時に、完全に敵対関係になると思ったんだ。怪しい会社だから、社員に危害を加えられてはまずいと思って、守るつもりで社員証に査探を忍ばせた」
「なるほど。守るつもりが、裏切りを知ったわけか‥‥‥。ベン・シュミットにかまをかけたのはそういうわけか」
元々言霊は、文字に宿るものだ。カイルは、磁気を帯びる透明なインクで社員証の裏に「査探」と書いて、社員たちに戻した。
各々が社員証を入退出時に、入退出をチェックするセンサーに翳すと、社員証に張り付いていた査探の気が、入退出の読み取り機にしかけられた査探用の受信機を通して本体の査探に伝えられる。
集められた情報を、会議室にある立体写真立てから査探を呼び出して聞けば、危ない目にあった社員たちの状況を知ることができ、加害者の身元も割れ、ブラックスワンとの繋がりが分かるかもしれない。カイルは最初はそんなつもりでいた。
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