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ジェリーフィッシュ外の図書館に、言霊を探しに行った日の朝、カイルは出勤してきた社員たちが、全員無事に出社したのを見てほっとしながら、会議室に一人でこもった。そして、思わぬベン・シュミットの裏切り行為を知ったのだ。
「さすがに、設立当初から一緒だったベンが不可解な行動をとっていると聞いた時には、査探の方を疑ってしまった。何しろ初めて使うし、彼の能力を知らなかったからな。だが、会社に乗り込んできた男たちが言霊捕獲機を持っているのを見た時に、査探の言ったことが事実で、ベンに裏切られていたという証拠を突き付けられたようで、ショックだったよ」
全ての感情を押し殺したよううに、カイルが淡々と語りながら、3Dが浮かぶ写真立てのスイッチを切り換える。浮かんでいたカイルと良平のホログラムの代わりに、青白い炎の様な揺らめきが立ちあがり、影のようなダークな顔が浮かび上がった。
目が三角に吊り上がり、両側に裂けたような口が、その名の通り悪魔を思い起こさせる。目と口の部分だけくり抜かれたように、査探を覆っている炎と同じ青白い光を宿していて、凄みを感じさせた。
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