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愛歌の誕生
ベン・シュミットがブラックスワンと通じている証拠は、ブラックスワンの社長の黒田巧巳がベンに指示した声の録音や、黒田宛に送ろうとした言霊通信社の社外秘のデーターなどが、ベンの持っていた通信機器の中から見つかり、ベンは釈放されることもなく、裁かれることになった。
スパイ活動の証拠となる黒田からの指示の録音を、なぜ残していたのかと警察官がベンに聞いたところ、消されないための保険だと答えたらしい。
カイルと良平宛てに、謝罪の手紙が届けられ、二人の能力や友情に嫉妬していたこと、自分も会社を持って二人を凌ぎたい気持ちがあり、それに付け込んだ黒田から、会社を持たせてやるからとスパイの話を持ち掛けられ、つい出来心でのってしまったことがしたためられていた。
言霊増幅装置や捕獲機などの設計図は渡していないとは書かれていたが、カイルはあることを心配していた。
それは、言霊の弱点とも言え、言霊は嘘をつくと言葉にこもった魂が抜けてしまう現象が起きるということだ。
もちろん言霊自体は嘘をつかないが、相手が相手だけに、どんな仕掛けをして、言霊を利用するのか分からない。自分たちが利益を被るために、言霊に嘘をつかせるように仕組まないとも限らない。
黒田巧巳は言霊の弱点を聞いただろうか? それを考えるとカイルは不安に襲われた。
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