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「視覚では触られているように見えるのに、感覚がないと、どうも戸惑うな」
「ああ、でもこのかわいらしさは、感覚がないのを補うよ。仕事を終えて家に帰ったら、愛らしい愛歌を眺めるだけで、癒されそうだ」
カイルの声を聞いて、キャラクターデザイナーたちや、プログラマーたちが誇らし気に胸を張ている。彼らに向かってカイルは改めて、労いとお礼の言葉をかけた。
良平も共同経営者として、社員全員に良い言霊ができたお礼を言った後、少し心配そうな眼差しをカイルに向けた。
「カイルはロリコンじゃないよな? 愛歌は育つことを忘れずにな」
「な・何を言ってるんだ!? 俺がロリコンの訳ないだろ! みんなが信じたらどうするんだ?」
うろたえるカイルに、社員たちの笑い声が重なり、そして、今までのやり取りが分かっているように、愛歌も笑い出した。
赤ん坊の笑い声や、破顔した表情ほど、見るものを幸せにするものはない。カイルのことを笑った社員たちは、口々に自分達もロリコンかもと言いながら、愛歌の傍へと移動して、小さな手の愛の洗礼を受けたのだった。
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