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そこから言霊増幅装置を取り出すと、カイルはベッドルームに隣接したダイニングに戻って、テーブルの上に設置する。愛歌を投影する準備を始めた時を見計らったように、ドアのベルが鳴らされ、隣の部屋に住む良平がやってきた。
この1週間は、帰宅後毎日のように、愛歌の成長を二人でチェックするので、夕食も一緒に摂るようになった。良平が持ってきた材料を洗い、慣れた手つきで、オートマティッククッカーに入れる。
料理ができるまでの間、二人はダイニングテーブルにつき、言霊増幅装置を稼働させて愛歌を呼び出した。
40cmほどの言霊増幅装置が白く発光し、かわいいワンピースを着た25cmほどの小さな愛歌が、テーブルの上をよちよち歩きでカイル方にやってきたかと思うと、よろけてぐらりと身体が傾いた。
カイルが慌てて手を出そうとすると、愛歌はストンとお尻で着地し、座ったままかわいい声で笑い出す。
ほっと、息を吐いたカイルを、良平が目を細めて笑いながら弄るのも、最近の日課になりつつあった。
「しかし、今の様子といい、このかわいいワンピースの趣味といい、カイルの新しい面を知った気がするよ」
「うるさい! 何を着せればいいか分からなかったから、キャラデザイナーにどれがお勧めか聞いたんだ。俺の趣味じゃない!」
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