再び屋外図書館へ

2/26
前へ
/128ページ
次へ
 そこから言霊増幅装置を取り出すと、カイルはベッドルームに隣接したダイニングに戻って、テーブルの上に設置する。愛歌を投影する準備を始めた時を見計らったように、ドアのベルが鳴らされ、隣の部屋に住む良平がやってきた。  この1週間は、帰宅後毎日のように、愛歌の成長を二人でチェックするので、夕食も一緒に摂るようになった。良平が持ってきた材料を洗い、慣れた手つきで、オートマティッククッカーに入れる。  料理ができるまでの間、二人はダイニングテーブルにつき、言霊増幅装置を稼働させて愛歌を呼び出した。  40cmほどの言霊増幅装置が白く発光し、かわいいワンピースを着た25cmほどの小さな愛歌が、テーブルの上をよちよち歩きでカイル方にやってきたかと思うと、よろけてぐらりと身体が傾いた。  カイルが慌てて手を出そうとすると、愛歌はストンとお尻で着地し、座ったままかわいい声で笑い出す。  ほっと、息を吐いたカイルを、良平が目を細めて笑いながら弄るのも、最近の日課になりつつあった。 「しかし、今の様子といい、このかわいいワンピースの趣味といい、カイルの新しい面を知った気がするよ」 「うるさい! 何を着せればいいか分からなかったから、キャラデザイナーにどれがお勧めか聞いたんだ。俺の趣味じゃない!」
/128ページ

最初のコメントを投稿しよう!

78人が本棚に入れています
本棚に追加