言霊通信社

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言霊通信社

 カイルたちが乗ったオートドライブのマイクロバスは、ジェリーフィッシュに設けられた車の開閉口を入り、入口から続く密封された通路を通って自動ドアをくぐり、同じく窓も何も無い、密封された部屋にある消毒待ちの車の駐車スペースに誘導された。  カイル達も隣接する部屋に入り、防護服を着たまま消毒液の噴霧を受ける。そして脱いだ防護服を廃棄処理用のボックスに入れると、また次の部屋で裸体に直接消毒を受けることになる。  消毒する箇所は、体温感知器と細菌センサーを備えたAIが確認しながらノズルを調整し、まんべんなく消毒液を噴霧される。防護服の処理もオートで行う徹底ぶりで、万が一、人が触って菌に感染しないように配慮されていた。  カイルたちが、長い管のような消毒室で一列になって裸で並んで消毒を受けるのはいつものことで、男同士の裸など見慣れていて気にもかけたこともなかったが、先ほどマライカに示した良平の不可解な態度が頭の片隅に残っているカイルは、つい隣に立つ良平に視線をやってしまう。  アジア人の良平と、ヨーロッパの人種が色々混ざりあったカイルとでは、何か違いがあるのだろうかと、良平と自分を見比べて考えてしまった。
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