悪夢★(和泉視点)

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悪夢★(和泉視点)

完結作品ですが、1話更新します。 お付き合い頂ければ嬉しいです。 時間軸は少し戻りますが、和泉と朔耶が身体を繋げたものの、まだ番にはなっていない時期。第5話と6話の間あたりのお話です。 Twitterで30RTでエロ話を書くというタグをさせて頂いたところ、有り難くも30RT以上頂いたので書きました!清々しいほどにオールエロです。それでもオッケーな方はぜひどうぞ!! ୨୧┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈୨୧  うめくような小さな声で、和泉暁は目が醒めた。  寝起きが悪いと仕事にならない職業柄、日常的に眠りが浅く、小さな物音でも割と目が醒める方なのだ。 「う……ぅん」  小さな声は、和泉の隣から。  目を凝らすと、そこには愛するパートナーである、新堂朔耶が寝ていた。やはり、そのうめき声は朔耶からだった。  声をかけそうになって、まだ夢の中にいることを悟る。悪夢を見ているのか……と思うが、起こすべきか迷う。急に起こすと本人が混乱するとも聞くためだ。  身体を少し起こし、室内灯のリモコンを手にする。少しずつ部屋の中を明るくするように、スイッチを入れる。和泉が朔耶を抱き寄せると、朔耶はそれに応えるように、和泉の脚に自分の脚を絡ませ、股間をこすりつけた。    和泉は驚く。  朔耶が、腰を動かしてため息を漏らした。  これは……と和泉は思う。  すでに膨らんだ股間を脚にこすりつけられ、こちらとしては忍耐力が求められるが、最愛の恋人のために我慢をした。  部屋をすっかり明かるくすると、和泉は朔耶を密着させた。すると、ようやく朔耶が気がつく。ようやく夢の中から少しずつ戻ってきた。 「……ん」  鼻から抜けるような、切なげな声を漏らし、胸のなかで朔耶が身じろぎをした。 「……おはよう」  寝ぼけ眼で向けてくる顔がなんとも可愛らしい。一方朔耶は和泉の胸の中にいたことに大層驚いた様子。一瞬かたまっていた。 「あ……き」 「うなされてたぞ。大丈夫か?」  そう素直に心配すると、朔耶は顔を胸に押しつけて、くぐもった声でうんと頷いた。  安心したいようで、しばらく無言で深呼吸をして和泉の匂いを感じているようだった。 「……なんか……へんな夢を見た」  しばらくして朔耶がぽつりと呟く。そうだろうなと和泉も思う。  記憶に残るほどに印象的な夢でもあったようだ。 「大丈夫?」  知らぬふりをして、朔耶を抱き寄せると、あん、と朔耶が小さな声を漏らした。それにも気がつかないふりをする。 「抑制剤を変えたからな。その副作用かもしれない」  悪夢は、慣れない抑制剤を服用した時に割と出現する副作用だ。  札幌で不意の発情期に見舞われた朔耶を介抱し、そのような関係になったにも関わらず、和泉自身が番にする踏ん切りがつかずに終わった。そのため、このように抱き合ってベッドで眠るような関係になった現在でも、朔耶は抑制剤に頼る生活をしている。  和泉の強い勧めがあり、朔耶は昨日、誠心医科大学病院の和泉の元を初めて診察で訪れた。  採血してフェロモン量を調べた結果、抑制剤が効きやすい体質と聞いていたにも関わらず、既存薬剤では満足する効果が得られるか怪しい状態であることが判明した。運命の番である和泉の近くにいるためとも考えられる。  和泉は抑制剤の処方設計を考えた結果、思い切ってこれまで朔耶が服薬した経験がないものを処方した。 「森生メディカルの新薬を出したから」 「そうなの?」  今日の診察でこれまで処方された抑制剤の履歴はきちんと答えられた朔耶だが、和泉に処方された薬剤についてはまったく把握していない様子。薬物は毒物と教え込まれる薬剤師にあって、警戒感がなさすぎると言えるかもしれないが、和泉を信頼しての無自覚の行為と考えれば、愛おしくて堪らない気持ちになる。  和泉は朔耶を抱きしめて答える。 「ああ、切れ味がめちゃくちゃいい薬なんだが、副作用が結構報告されてる」  すると、朔耶はそっかと少し安堵した様子。  これまでの朔耶の主治医は、メルト製薬本社の医務室の雪屋医師だった。となると、処方薬剤の第一選択薬はメルト製薬の抑制剤であって当然のこと。朔耶によると、他社製剤はここ数年飲んだことがないようだった。  当然、情報がまだまだ少ない新薬で、手応えのような小さい副作用情報だ。いくら勉強熱心でもキャッチするのは難しいだろう。 「どんな夢を見たんだ?」 「え」  あからさまに朔耶が動揺する。 「そんな……大した夢じゃないよ」 「うなされたのに?」 「う……。うん。平気」 「そう? ここをこんなにしてるのに?」  そうして和泉が朔耶の股間を触る。思わぬ刺激に、朔耶の腰が逃げを打った。 「っ……」 「さっき、無意識に俺の脚にこすりつけてたぞ。夢精されたら、悔しくてたぶんそこで襲ってたな」 「……」  朔耶が黙る。 「暁さんが……意地悪だ」  ふふっと和泉が笑った。 「……抑制剤の副作用で報告される悪夢のほとんどは、淫夢だ。知ってるだろ?」  そう言って和泉が朔耶の口を塞ぐ。 「どんな夢を見た?」 「……暁さんが…」  朔耶が言いかけて口を噤む。 「俺が?」  意地悪く和泉が反芻する。  観念して、朔耶が唇を開く。 「……キスしてくれて…」 「お安いご用」  和泉は再び朔耶の唇を己のもので塞ぐ。舌を入れ込み、敏感になっているであろう朔耶の舌を、誘い出す。同時に、寝間着の裾から手を入れて、左胸のすでに立っているその突起を人差し指でくるりと撫で上げた。 「ん……っ」  ぶるりと朔耶の身体が震える。  思った反応が返ってきて和泉は嬉しくなる。人差し指を休むことなく、その場所に当てて、ころころと転がす。そして摘まんだり、押しつけてみると、さほどに強い刺激を与えたわけではないのに、朔耶が腰を揺らして、和泉の腕を掴んだ。淫夢で身体が敏感になっているのに、中途半端な刺激を与えられて、身体がじらされているのだろう。  もうキスだけでは満足できないはず……。  和泉は唇を話して、至近距離で涙目の朔耶に聞く。 「……で?」  先を促すと、朔耶が躊躇うような表情を見せた。 「話してくれないと分からないな」  我ながら意地が悪いと思う。  乳首をこりこりと弄りながら、朔耶の言葉を待つ。口にしないと、先に進めてくれないと理解したのであろう。 「……舐めてくれて……」  期待していた答えだと和泉は再び行動を開始する。  朔耶の寝間着の上着のボタンを器用に外し、胸を露わにする。そして散々和泉に弄られてぷっくり赤くなったその場所を、唇に含んだ。  吐息とともに、朔耶の腰が揺れる。  舌の先端でくりくりと弄りながら、右手は朔耶の下半身に及ぶ。寝間着のズボンを下着とともに勢いよく下ろす。  ぶるんと露わになった性器が空気にさらされた。 「はぁ……ん」  刺激に朔耶が深いため息を漏らす。すでに先走りでぬるぬるになったその場所に手を伸ばした。 「あ……あき……」  名を呼ぼうとしているらしいが、刺激が強すぎて、口に出来ないようだ。そんな姿か可愛らしくて愛おしくて、ますます愛してやりたくなる。 「そんなに気持ちがいいか」  和泉が乳首への舌による愛撫を止めて聞くと、朔耶は何度も小さく頷いた。 「でも、舐めてくれたのは、ココじゃないだろ」  和泉は、朔耶の下着を完全に取り払い、脚を左右に広げてその中心にある屹立した性器を口に含んだ。 「ああっ……!」  悲鳴のような声が朔耶から上がった。自分の股間に顔を埋める恋人の行為を確かめるように、朔耶の手が和泉の髪をさらさらと撫でる。  ……ここでイかせてもいいが、今夜はまずは一緒にイキたいな。  キスしてくれて、舐めてくれて……。となると、朔耶の夢の中に登場する自分は、次はどんな行為に及んだのか。  そんなことを考えながら、和泉は朔耶の奥の場所に手を延ばす。いつもはきゅっと閉じているその場所を、朔耶のぬめりを持って、指をくっと入れる。 「あ……ああ」  誰の指なのか、朔耶の身体は知っているのだろう。発情期にはまだ遠いが、その場所が伸縮して和泉の指を受け入れる。    健気ながらも乱れる、朔耶のその姿に煽られて、和泉自身ももう限界に近い。気持ちは急ぐが、朔耶が官能を拾いやすいように優しく丁寧にと、自分の理性を総動員して自身を抑えつつ、その場所を解していく。  朔耶のその場所に指を入れて拡張しながら、和泉は朔耶に最後の質問を投げる。 「……で、夢の俺は、そのあと朔耶をどうした?」  指を二本いれて、中をくりくりと広げる。その動きを身体は正確に拾いながらも、涙目で和泉を見上げてくる。嗜虐心が刺激されて、ヤバいと思う。  それでも朔耶は答えを躊躇っているようだ。それが、煽っていることに気がついていないらしい。 「朔耶」    くいっと中を刺激すると、朔耶の背中がしなった。刺激で脚がくっと閉じかけた後、力が抜けてさらに開かれた、屹立した性器に、指が埋め込まれた後蕾が丸見えになった。目の前では堪らない光景だ。  和泉が求める答えを言わないと終わらないとようやく悟ったようで、手を口に当てて、小さく答えた。 「……挿れてくれた……」  和泉は了解、と答える。指をその場所からとぷんと引き抜くと、朔耶の身体を起こし、四つん這いにさせ、腰を高く上げさせた。 「いくぞ」  すでに広げられて敏感になった場所に自分の猛りを宛がう。和泉自身かなり煽られて、かなり怒張しているが、朔耶は浅く息を繰り返して、和泉の先端を迎え入れてくれた。  それが嬉しくて、ぐぐっとさらに入り込む。 「はぁっ……」  変わらず浅い呼吸で衝撃をやりすごしているが、その中は、和泉を迎え入れたことを喜んでいるように複雑にうねっている。朔耶の肌と和泉の下生えが密着し、朔耶の後蕾は和泉の猛りを難なく飲み込んだことが分かった。  朔耶が落ち着くまで、和泉は背中にキスをし、脇腹に跡を付ける。背骨に沿って肌を舐め上げて、朔耶の放つ、わずかな香りを堪能する。  腰を掴んでいた和泉の手に、朔耶の右手が重なる。それが、準備が整った合図だった。  和泉が、がつんと朔耶を追い上げる。 「っ……あん!」  朔耶が和泉の下で啼いた。自分のものを引いて、さらに突き上げる。  朔耶は和泉の動きに翻弄されるがままだ。  腰使いを激しくすると、朔耶は言葉にも悲鳴にもならない声を断続的に上げて啼いた。 「いくぞ」  その宣言で、和泉は快感を追うための激しく突き上げる。朔耶が自身の身体を支えられなくなり。シーツを強く握り込むのが見える。  限界が近い。  和泉が、朔耶の奥を突いたときだった。 「っあ……ん!」   朔耶が小さく呻いて、限界まで張り立った性器から、とぷとぷと白濁を吐きだした。そして和泉も朔耶の中のうねりに誘われて果てた。  力が抜けて腕で身体を支えられなくなった朔耶が、シーツの上に頬を乗せ、力なく口許を緩めて笑みを浮かべる。アルファの吐精を、うっとりととした表情で受け止めるようだ。溜まらず、和泉は朔耶の背中にキスをおとした。 「あ……もう。暁さん」     言葉にならない様子に朔耶を、和泉が抱き寄せる。 「また、淫夢をみたら……内容を教えてくれな」  朔耶が悩ましげに小さく呟いた。 「本物の暁さんは……僕の夢より激しいよ……」  再び朔耶が、あんと小さく啼いた。  と同時に、朔耶の中から、くちゅりと水音がした。 【了】 ୨୧┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈୨୧ 飲み慣れない抑制剤を服用すると悪夢を見やすくなる…という特徴的な副作用を、別作品FORBIDDEN(第10話)で書きまして。同じ世界観のPRETENDではどんなエピソードが出てくるだろ、と考え始めたら止まらなくなりました。 FORBIDDENは本作と同じ世界観のお話です(話はリンクしていません) 注意点ご確認の上、問題がなさそうであれは、 こちらもぜひぜひご覧になってみてください!
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