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二人は隣の檻へと移った。そこには、またしても見たことのない動物が入っていた。
「ワニみたい!」
「ワニっていうより、恐竜みたい…」
それは、爬虫類のような生き物だった。体は黒い鱗で覆われ、背中には蝙蝠のような翼があった。二足歩行でヒョコヒョコと歩いては、その翼を小さく震わせた。
さすがに作り物なのではないか。母親がそう思って檻に近づくと、隣にいた息子がその動物に向かって声をあげた。
「おーい」
すると、動物はピクリと反応し、威嚇するように翼を大きく広げた。その翼は大きく、いっぱいまで広げると体長の2倍以上あるのではないかと思われた。翼の内側は燃えさかる炎のように鮮やかな赤色をしており、目に刺さるようだった。
母親は思わず恐怖を感じ、息子をかばった。しかし、息子は楽しそうに、相変わらず歓声をあげている。
「本物、なのかしら…」
母親はやはり目の前の光景を信じられなかったが、もっと見てみたいという好奇心の方が勝り、息子の手を引いて先へ進んだ。
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