先輩、ツ、ツヨいです、とは言えなくて

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先輩、ツ、ツヨいです、とは言えなくて

「やだあ、まだこんなにたってるの?」  俺は今、会社が休みのこの日、先輩とココにいる。 「十回目とは思えないわ」 「そ、そんな言い方‥‥‥でも、流石に疲れましたよ」  先輩にリードを許しているのは、年の功なのか。  でも、たった一つしか違わないじゃないか。  先輩がこんなに余裕なのは、経験値の差なのかもしれない。 「そんなに怖い顔をしないで。ほら、焦らないの」  俺は、額の汗を拭うと、中指と薬指を、ゆっくりとその穴へ差し入れる。  そして親指を‥‥‥  緩やかな曲線に手を這わせてから、俺は先輩の目を真っ直ぐに見た。 「俺が後輩だからって、これ以上リードは許しませんよ」  俺の余裕の笑みは、ひきつってないだろうか。  先輩の笑顔が、今はくやしい。 「ほら、焦っちゃダメだってば!‥‥‥あっ、そこじゃない‥‥‥」  俺は焦りすぎたのか、ソコを外してしまった。
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